たべものとはいのちのこと

先日からずっと考えていた「たべもの」とはなんだろうということ。

父が胃ろうになって、入院してから固形物を食べていない。
病院は空調設備が万全とはいえ、たべものを口にしていない体で寒いと感じるのだそう。
「あぁ、あたたかい味噌汁がのみたい」そういっていたのは8月中旬すぎ。胃ろうが始まって治療が開始した下旬から何も口にしたくないと言い始めた。これは非常によくない傾向だなとすぐに思いました。

そうたべるという行為は、身体のすべての治癒力に繋がるひとつの術である。
たべものは、色や形を目で見て楽しみ、香りや食感を脳で感じ、噛むという行為で消化を高める、そういういろいろな要素があって食べるなのだ。
胃ろうにただ液体だけが流れ込み、温度も臭いも感じない、「食べる楽しみ」を失った今、父の免疫はただただ落ちていくだけ、そう見えてしまうのは私だけだろうか。

私は胃ろうに入れる栄養剤を調べてみる。
父が使っている液体(消化態)の栄養剤は、病院の栄養士さん曰く「これほどの栄養素が含まれている栄養剤はない」と言っていたけど、調べてみると、経口から入る栄養素と胃ろうから入れる栄養素は同じであるというエビデンスはまだとれていないのだという。
治療の副作用でおきやすい下痢の症状をおさえるために、最近では半固形物の栄養剤が主流になってきているのだそうです。
そこで半固形物いわゆるゼリー状のものも調べてみると、経口摂取もかねているようで、いろいろな種類が出てきた。
一般に食品という分類で販売されているものは、あるレベル以上の栄養素を含みながらも「砂糖」などの糖質が多く含まれ、「アスパルテーム」などの人工(合成)甘味料も含まれているものがあった(危険性はネットでもいくらでも出てきます)
またそれぞれにフレーバーなどの加工もしてあり、胃ろうにフレーバーは何のため?と質問すると、げっぷをしたときにその匂いを感じることができて、一つの楽しみになるのだと。。。ありえないでしょ。がっくりきてしまいました。
そういうものを「栄養剤」として摂取するのは本当に「治る」ために必要なことなんだろうか、と思います。

人は生まれてくるとき、産道を通ってくる。その時お母さんの免疫システムを通過することで子どもの免疫システムが備わるという話を聞いたことがある。これもまだ確かな話ではないのかもしれないけれど、そうするとたべものも同じことが言えて、喉や食道を通って胃に入るからこそ、身体の中でたべものが治癒力へつながるのだとしたら「たべものはいのち」と言えるのではないでしょうか。

唾液、嚥下、食道から胃へ。それぞれの臓器が役割を担って、食べるからこそ「治癒力」がうまれるとしたら、すぐに口から食事をすることにもどしてあげたいと思う。

病院はとてもよくしてくれているようにみえます。
でも看護師や栄養士さん、病院のスタッフさんよりも患者や家族の方が良く知っていることもあるかもしれない。
そう思うと、治療とは病院内だけではない、患者と家族を含めてチーム医療なのではないかと強く思うのです。

病院で胃ろうの栄養剤の話を栄養士さんとしていたとき
「これはたべものではないですね・・・」と言ったら小さくうなづいていました。

早く父にいのちを食べさせてあげたいです。

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