告別式でー父のこと-29

父を棺に入れる時に、下に敷く畳の裏に白い紙のようなものが貼ってあり、そこに家族からのメッセージが書き込めるようになっていました。
施設の人から「家族の方、皆さんでメッセージを書いてあげてください」と言われたので、順番に父へのメッセージを書くことに。
私は一番最初に書いたので、兄弟姉妹、甥っ子姪っ子が何を書いたのかわからなかったけど、あとからチラっと見えた母の言葉は何だか切なかったです。
見られたくなかったのかなー。最後に書いていた姿がいろいろなことを想像しました。
母は憎まれ口で言葉がきつい。いつも強がりで父のこともいつもグチグチ言っていました。その母が通夜で号泣していて、その時母は長い長い夫婦生活のいろいろな思い出を思い出して泣けたのだろうなと思いました。
夫婦生活が長ければ長いほど、思い出はたくさんあって、もしかすると再婚したりして夫婦生活が短いと、こんなに泣けないのではないだろうか、とも考えました。
もし大切な伴侶がなくなったとき、長い間連れ添った相手だとたくさん思い出すことがあるから、きっと走馬灯のようにたくさん思い出が浮かんできて涙はとまらないのだろうなとか、考えていました。

棺の中に故人が大切にしていたものを一緒にいれてよいとのことで、いろいろ入れたのですが、父は歌が好きだったから何か歌にちなんだものを入れてあげればよかったと、その時はいっぱいいっぱいで病気になってからのことしか思い出せなかったけど、こういうことって後からわかるんですよね。

火葬前、母は何度も、起きないかしら、温かく戻らないかしら、とか何度も何度も言うので「父はもうここにいないから!」と思わず口にしてしまったけど、そう思うことで家族は、「そう、これは肉体だけ、父は上にいるんだ」と思いこませていたように思います。だから収骨もたんたんとしていて、もう涙は出ませんでした。
なんというか通夜から葬儀まであっという間で、長年父が通っていた大好きな鴨鍋屋さんで、最後にみんなで食事して(父も一緒に)、それで解散となりました。



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