通夜ー父のこと-28

今日はお通夜でした。
本当に家族のみの、ひっそりとした時間でした。
娘と息子と孫のみの、家族葬で父の遺言でもありました。
みんなの温かい手のぬくもりとともにあの世へ行けるようにと
皆さんでお父様に触れてくださいと、
私たちは頬や手を代わるがわる触れたり握ったりしていると
母が「お父さんまた温かくならないかしら」といい
その瞬間、我慢していた涙がこぼれ落ちてしまいました。

父は眠っているなかで、あの世へ旅立ったので、
もしかするとまだそこに、さまよっているかもしれない、でも
僧侶の読経の音をきいて、やっと自分が魂だけになったんだと
辛くて痛かった身体を脱ぎ捨てることができたと
わかったのかもしれません。そう感じました。
どこかに父の気配を感じ、ふっと隣をみると
母が声を殺しながら、号泣していました。
母の涙はつらい。
強い人だと思い込んでいたけれど、私が涙もろいのはひょっとして母譲りかもしれないなと思いました。

いろいろなことを思う、夜でした。



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